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Channel: Geckooは夜に鳴く
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ラバウル戦記

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勤め始めの頃にお世話になった先輩がいて、その人は、水木しげるの本が面白いという。
「鬼太郎?」と聞くと、
「うん、鬼太郎もいいけど、戦記物が面白いねん・・・あの人」
とのこと。
いずれ読んでみたいと思いつつも、なかなか手に取れないでいました。

それから20数年経って、手に取ることになりました。
それまでも読んでみようとは思うものの、私、戦争に関するものにあんまり興味を抱けないでいたんですよね。
でも、最近になって、少し興味を持てるようになった。
ちょっとしたきっかけがあったんだけど、それはまた別の話。


「ラバウル戦記」という本を読みました。

この本を読むと、人間は平等・・・なんてとても思えなくなる。
そのくらいに人はバッタバッタと死んでいく。
それも、あっけなく死んでいく。

一方、著者の水木さんは、ビックリするくらい強い。
体も丈夫だし、精神も強いんだろうなぁ・・・この人。
戦争真っ只中、それも最前線に送られて、死しか待っていないような状況なのに、なんだかのほほんとしている。
まぁそれは、当時を振り返って書いてるから・・・というのも多分にあるんだろうけど、やっぱりなんだかのほほんとしている。
南方の景色を楽しんだり、原住民たちとの交流にいそしんだりしている。

さらに運も強い。
所属部隊が全滅するなか、ただ一人生き延びてる。
逃避中に、ジャングルを一人で彷徨い、マラリアに侵され、爆撃で片腕を失っても、しぶとく生き延びる。
そもそもの生命力が他の人とは段違いに強い気がします。

戦記物のはずなのに、日本の戦局なんてものには全く興味をしめしていない。
この人が書き留めているのは、自分のこと、食い物のこと、部隊の同僚や上官のこと、原住民のこと、ばかり。
つまり個人的なことにしか興味を持ってないわけで、あっぱれな非国民ぶりです。

きな臭い時代に、いざ戦争となったときに、
はたして、オレは正しく非国民でいられるのだろうか?
そんなことも思いました。

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