京都といえば古都で、はんなりで、イケズで・・・っていうのが一般的なイメージ。
でも、現実の京都は、結構新しいもん好きで、こってりだったりする。イケズな人はイケズやけど、中にはまぁ親切もいたりで、私はそんな京都の二面性が好きだったりします。
関西の都市、大阪や神戸も独特の文化や性格を持った町なんだけど、こと文化面での懐の広さはやっぱり京都にはぐっと敵わない気がする。
う私が、京都に行くたびにウズウズし始めるのは、有名な寺社仏閣があるからでも、美味い料理屋があるわけでもなくって、実は個性的な本屋さんがたくさんあるからだったりするのです。
かの有名な恵文社、ガケ書房、三月書房、アスタルテ書房・・・。
地図を片手に本屋巡りが、楽しくてたまらないのです。
石垣の壁にミニカが突っ込んだ店舗で有名なガケ書房が移転したというニュースをネットで読んで、ちょっと寂しい気がしました。
あの本屋とも思えない店がなくなっちゃったのか・・・と。
でも、名前を変えて店舗を移転したのだと聞いて安心しました。
新しい店の名前は『ホホホ座』!
・・・なんじゃそりゃ・・・
人を喰ってるんだかなんだか、面白いけど力が入らん感じがやっぱりオモロイのでした。
ついでがあったので『ホホホ座』を目指すことにします。
時は8月6日のこと。
暑い暑い盛りの日。盆地の京都の暑さは独特だっていうけど、確かに蒸し暑い。。。
京阪:出町柳の駅から、ぶらぶら歩くと百万遍の交差点。学生が多いのは京都大学があるから。そう思ってるせいか、なんとなく行き交う人がみんな賢そうに見える。
京大横目に今出川通りをグイグイ歩く。
ここは京都マラソンの時に走ったなぁ・・・。ぬる~い登り坂が、レース終盤の膝と腿に拷問のように感じたことを思い出す。
道の脇には学生向けだったり古い店だったり、個性的な食堂やら実験器具を扱ってる店とかもあって、眺めながら歩いても飽きない。暑いけど、歩道の並木がいい日よけになっているのでずいぶん助かります。
どんどん歩いて行くと、古書店があります。
あっ、これは有名な「善行堂」じゃないか!。
タオルで汗を拭いながら寄り道。
うわぁ狭いけど、キレイに片付いていて・・・でも奥の方は古本屋らしく本やCDが積み上げられていて、いいなぁ・・・。欲しい本は何冊かあったけど、ここは箱入りの開高健「珠玉」で我慢しときます。店の主は「善行堂」という名にふさわしくない、鋭い目つきをした方でした。
あ~汗びっしょり。そのまま白川通りを南へ。
あれ?、もうちょっと行ったら銀閣寺か・・・ってことは哲学の道歩く方が涼しいかなぁ・・・とも迷いながらも、最短距離で行きたいので、広い道沿いを歩く。
で、民家の中の細い道に入って・・・って、こんなとこに本屋あるかぁ???。
だって、ほとんど商店もないし人通りもない。
まぁ平日の昼間だってこともあるけど、それにしても・・・。と思っていると、あった!ホホホ座です。
しかしなんやなぁ・・・田舎の寂れたスーパーマーケットみたいや・・・。
でも中はやっぱり面白い品ぞろえで、アート、ライフスタイル、サブカル、コミックと、なんだか統一感のあるようなないような、オシャレなような調子っぱずれのようなセレクションは相変わらず。
私が今回拾い上げたのは、ミニコミ誌「野宿野郎 Vol3」。
なんと野宿の専門誌です。
いえ、私は野宿なんてようしぃひん根性無しですが、ここには野宿が好きで好きでたまらん人達が集っていて、とてもマトモとは思えないことを書いています。
素晴らしい本だと思いました。
ホホホ座を後にして、来た道を引き返し、これもかの有名な進々堂で休憩。
アイスコーヒーを注文して、大きなテーブルに腰を下ろすと、向かいは髭を生やした紳士。
買ったばかりの「野宿野郎」を取り出して、あまりのバカバカしさに笑いを噛み殺していると、ふと向かいの紳士と目が合います。
目はさっさと逸らしたけど、この人が読んでいる本は、また難しげな数式が散らばっています。
この人はもしかすると京大の教授か何かなのかなぁ・・・と思うと、いたたまれなくなって、「野宿野郎」を鞄にしまって、アイスコーヒーを一口飲んだのでした。
静かな店内は、なんだか時間がゆっくりと流れるようでした。
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